全国で氷山の一角か、がん見落としー千葉大病院

【専門領域外でCT報告書を読まず】
 今月8日、千葉大病院から発表された報告に背筋が寒くなるのを覚えた。

 患者9人について、コンピューター断層撮影装置(CT)の画像診断で、がんの所見を見落とすなどして、4人の治療に影響があり、うち2人が死亡したという。

 60代女性は、2013年6月に、小腸の病気でCTを撮影。CT専門医から「腎臓がんの疑いがある」との報告書を受けた。しかし診療科の診察医は十分な確認をせず、2017年10月に、別なCT検査で腎臓がんであることを認識し、女性は2ヶ月後死亡した。

 70代男性も、2016年1月、皮膚科で悪性腫瘍のCT検査を受ける。すると肺にがんの所見がでたが担当医が見落とし、2017年4月に肺がんと診断され、同年6月に死亡した。

 50代と60代の男性も、肺がんと膵がんを見落とされ、1年5ヶ月と5ヶ月遅れで診断された。いずれも見落とされなければ他の治療を受けられた可能性があった、と同病院は言う。

 CT画像でがんを見落とされたというならまだしも、CT診断医ががんを指摘しているのに、担当外、依頼した患部以外だから、専門外に関心を示さず、報告書もよく読まずあるいは未読とは、医者の医学から離れた初歩的な事務能力の問題で、驚きを禁じ得ない。

 医師が学生で勉強中の頃と違い、現代は技術の進歩により、CTなどで想定外の部位で病変が見つかることは当然予想されることである。CT専門医の判断を最大限尊重する必要がるのは素人目にも分かることだ。

【35の診療科と約830人の医師】
 県内トップクラスの医療機関で起こった事件であり事態は深刻だ。千葉大病院は、35も診療科があり、約830人も医師が在籍している大病院。

 年間4万件の画像診断を10人のCT専門医で対応していて、報告書の作成が不十分で、遅れもあった面もあったという。今後は専門医を15人にし、患者と一緒に報告書を確認するなど体制の不備を見直すとしている。

 「電子カルテ」システムの不備もあるという。コンピューター時代でどこの世界でもあるような問題なのだろう。情報や報告書がパソコンに届いても、重要事項が赤字などで強調されていなかったり、読み終えなければ画像を見たり次に進めないなど工夫をしないとスルーは確実に起こる。

【慈恵会病院での事件が他山の石とならず】
 昨年、全く同じようなケースが東京慈恵会医科大病院でも起こり、世間に驚きが走った。画像診断報告書の見逃しなどで2人が死亡した。

 千葉大病院もそれを他山の石として自分の病院でもシステム点検・意識改革になぜ取り組まなかったのか。命を預かる医療機関として問題は大きい。

 日本医療機能評価機構によると、約千の病院で3年間を対象に調査したところ、画像報告書の所見見落としなどが37件報告されたそうだ。

 今回の千葉大病院の事件は、全国の大病院での氷山の一角でしかないと思われる。どの病院もぜひ足下の点検・啓発を直ちに行って欲しい。

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