「解雇の金銭解決」の提言

【規制改革会議の提言】
 昨日政府の規制改革会議は、裁判で「不当解雇」が認められた労働者に、企業が金銭を払えば退職させることができる「金銭解決の制度」の導入を提言したという。

 これまで小泉政権の時にも導入目前までいったが、企業側の強い希望からいよいよ実現しそうである。裁判所で不当解雇と認定されても「金を払えば解雇できる」という風潮が企業内で蔓延しそうだ。

 今回は、一応労働者からの申請に限って認めるということにはなっているが、一旦制度ができれば、そのうち企業からの申請にも道を開くことは目に見えている。

【裁判所の不当解雇の判決があっても】
 現状でも、解雇に対し裁判所から「不当解雇」の判決が出されても、すんなりと復職はなかなかできないでいる。「不当」だと言われても復職をそれでも拒む企業の倫理はいかがなものか。

 私も職場の労働組合の役員を長く担当し、数々の労使交渉を担ってきたが、小さな組合でも2度にわたり解雇闘争を経験した。

 裁判闘争となると、労働者にとって裁判費用や生活費用の確保も並大抵ではない。

 アメリカのように、転職が社会で当たり前のようにあり、転職がキャリア・アップになる社会ならともかく、日本では、不況の中解雇され失業すると、ハローワークなどを利用しても次の仕事を確保するのは大変である。

 ほとんど当然賃金水準は転職のたびに低下していくことになる。高年齢になるほどそれは厳しくなる。

 アメリカのような企業による解雇の自由制度を日本に持ちこまれては、日本の労働者は窒息してしまう。

  本人に責のある懲戒解雇ならまだしも、日本の現実は多くは企業側の恣意的なもの。今回の提言では、職場復帰が更に狭まる恐れがある。

 むしろ、裁判所から「不当解雇」と認定する判決が出されたら、必ず現職復職させるという制度の創設をすべきである。